2011年9月1日木曜日

森のムッレ教室 2 教室の流れ

〜「森のムッレ教室」の続き〜

森のムッレ教室では通常、ひとグループ子供8〜12人でリーダーが2人。
日本の幼稚園保育園での森の森のムッレ教室の場合は、先生一人に対し子供20人以上ということも多い。
子供と対話し発見や考えを引き出して行くためには、1人のリーダーに対する子供が数は5人程度が良い

週末のボランティアによる森のムッレ教室の時間は2〜2.5時間。
幼稚園保育園だと時間はもっと長くなり、一日中森で遊ぶ場合もあるようだ。

森のムッレ教室は、大雨でなければ雨の日でも行われる
雨の日には雨の日ならではの自然や楽しみがあるからだ。どんな天候にも対応出来る服装と準備をしておけば全く問題はない。
実はこの考え方は森のムッレ教室に限らずスウェーデンの幼稚園では一般的で、雨の日でも子供たちはカッパを来て外で楽しそうに遊んでいる。(参照:「万能着」)
そういうわけで、どんな天候にも対処出来るように持ち物は大人顔負けの内容となる。
自然に親しむ第一歩として、リュックサックの中身はいつも子供たちが自分で用意することになっている。


〜さぁ、ムッレ教室が始まります。〜
(今回は5−6歳児用の「ムッレ教室」を取り上げます。
  参照:その他の年齢について「森のムッレ教室1」)

森のムッレ教室ではいつも行く特定の場所を持っており、その場所を“ムッレの場所”と言う。

“ムッレの場所“の入口に着くと、“ムッレの場所“の扉を開けるための鍵として枝や石を拾って来て、歌いながら扉を開ける。
扉は実際には無くて想像上の扉なのだが、このように扉を設けることで得別な場所へ入るわくわくした気持ちが湧いてくる


扉を開けて拠点とする場所に行くまでの道中でも子どもたちは色んな発見をする
いつも同じ場所に行くため日々の変化に気付き易い


拠点となる場所につくとリュックを降ろし、教室が始まる。

(以下は私がリーダー養成講座を受けた時に、講師が見本として実践してくれた一教室です。これはあくまで一例ですがムッレ教室の方針が伝わると思います。)

輪になって座り、辺りに落ちていた松ぼっくりと枝でリーダーが虫を作る。
足は8本。リ「これは何?」/子「蜘蛛。」/リ「じゃあ蟻の足は何本?」というやりとりが行われる。
この蜘蛛の名前を皆で考え、一人ひとりに回して蜘蛛に自己紹介したり話しかけて行く。蜘蛛にちょうどいい声の大きさでひそひそと。
最後は、来週また会えるように分かり易い場所に置いておく。
こんな風に生き物を登場させて話しかけるとぐっと親しみが湧いてくる


次に、リーダーから「色んな葉っぱを3枚ずつ拾って来て。」とのかけ声。
皆で拾い集めた葉っぱを白い布の上に置いて観察する。
リ「色んな色だね。」「これは何色?」/子「黄色」「茶色」と色んな意見。/リ「この辺は黄色いしこの辺は茶色いね」
こんな風にリーダーが質問し、子供たちが五感を使って色んな視点で自然を理解できるよう導いて行く
同じ針葉樹であっても軸の一ヶ所から3枚葉が出ている植物があれば、2枚の植物、一枚の植物もある。リーダーは問いかけながら子供たちに考えさせる
ここで植物ごとの葉の出方の歌を歌う(絵の中の歌を参照)。葉が「座っている」と表現されていて、ユーモアがあるし子供にとってイメージし易い。

森のムッレ教室では、自然についての知識が埋め込まれた歌が多く用いられる自然について何か学んだ時、それに関する歌を歌うと頭にイメージとして入るため分かり易く覚え易いそしてなにより楽しい

その他、ルーペを使っての観察もする。いつもと違うミクロの世界にはたくさんの発見があり、子供たちも興味津々。
子供が疑問を持てばリーダーは子供が答えを導き出せるよう手伝い、分からないことがあれば子供と一緒に図鑑を調べる


しばらくしてから、皆でサンドイッチなどの軽食を食べる屋外で皆で食べるのは楽しい
食べ残しは、“ムッレの場所”の中で一ヶ所決めているコンポストへ。コンポストに残した食べ物が次来た時にどうなっているかを見るのも楽しい。


軽食を食べた後は、「木を交換!」ゲーム。
これは色鬼のようなゲームで、鬼が指定した木を触るために皆が走り回るというもの。
鬼は「遠くの木!」「白樺!」「小さな木!」と木について指定する。
この時、先程観察したり話し合った木についての情報が用いられ、学んだ事が遊びを通して頭と体にしっかり入って行く


他にも、木に登ったり走り回ったりと自由に遊ぶこともある。
自由に遊ぶ際には、木登りをする時には大人が手を貸さない、棒を持って歩かせない、リーダーの目の届く範囲内で遊ぶなどのルールが設けられている。
自然の中には様々な難易度の遊び場があるため、それぞれの子が自分に合った遊びを見つけ、少しずつ難しいことに挑戦して行くことが出来る。このため、森のムッレ教室では実際にケガや事故が少ないそうだ。

こんな風に自然を観察したり遊んだりしながら、教室は終了。
森に残している物はないか確認し、“ムッレの場所”の扉の場所に行く。
扉までの道のりでは、皆で小さな哺乳類になったつもりでお迎えに来た親をキツネに見立て、キツネに見つからないよう隠れながら進んでいく。教室の最後の最後まで楽しくなるような工夫がされる。


扉の所で木や石を拾って鍵を掛け、親が待つ場所へ。
最後に輪になり、一人ひとりの名前を呼びながらバイバイして行く歌を歌って解散。


以上が一回のムッレ教室の例であり、2〜2.5時間で行われる。

こうした教室が毎週あって半年を1つの期間とする。
1期間の最後の日には森の妖精“ムッレ”が森の奥から出て来て、生きている物に気を配り自然の中にゴミを捨てないようにというメッセージを子供に伝える
また、子供たちと一緒に遊びながら森の中で楽しく過ごす方法を教えてくれる
(森のムッレ教室の中で、5-6歳児用のムッレ教室においてのみ妖精が登場します。)
ここで注意しておきたいのは、森の妖精“ムッレ”は架空の生き物ということだ。
架空の妖精を使う必要ないのに…と思う方もいるだろう。私もかつてはそう思っていた。
けれど、ムッレ教室を体験する中で、「架空の物」と思いつつムッレに出会うとわくわくし、どんどん引き込まれて行く自分に気付いた
また、我が子が5歳になり、お化けはいないと言いつつもなんとなく気になっている様や花や木や空を見ながら色々な想像をしている様を見ていると、“想像力が豊かになる5−6歳の時期にムッレのような自然を象徴する存在が自然についてや自然の中での遊び方を教え自然を大切にするよう伝えることで、子供の心にすっと入って行く”とする森のムッレ教室の理論が納得出来た。

下の絵の真ん中にいるのが森の妖精”ムッレ”。
動物たちが作ってくれた緑の服を着、コケモモ色の羽のついたシラカバ帽子をかぶり、ゴミを掃除するためのしっぽを付けている。


参照:
森のムッレ教室HP日本 本部)/(東京支部)/(新潟支部)/(Sweden)
HPを見る事が出来るのは以上の4つです。東京支部と新潟支部のHPには写真や活動が豊富に載せられています。
これらの場所以外でも日本中に森のムッレ教室のリーダーがおり、幼稚園保育園やボランティアで教室が開かれています。興味のある方は本部や上記の支部に連絡を取ってみて下さい。

森のムッレ教室についての本
ムッレ教室の哲学や理論に加え日本での活動が紹介された深い内容となっていて、本当におすすめの本です。特に、子供や自然、環境づくりに関わる方には是非読んでもらいたいです。

6 件のコメント:

まめお さんのコメント...

これ面白いね。絵もすてき。
ムッレ教室を紹介する絵本にしてみたら?

暮らし良い環境デザインに向けて突き進むランドスケープデザイナー石田 佳織 さんのコメント...

ありがとう。
まめおさん、ムッレ教室についての本を是非読んでみて下さい。読み甲斐のある良い内容です。

まり さんのコメント...

面白かった!
森が身近にある生活、いいなぁ。
地元では自転車で行ける距離に小さい森も海も川もあったけど、今はなかなか。

子供になって教室に参加したのを想像するだけで、楽しい気分になれました。いつか自分の子をムッレ教室に…!?

暮らし良い環境デザインに向けて突き進むランドスケープデザイナー石田 佳織 さんのコメント...

私はムッレ教室を見学して「良い!」と思った内容を伝えたかったので、「面白かった!」と言ってもらえて嬉しい。
うん、是非子供をムッレ教室に!

saen さんのコメント...

とても興味が沸く内容で素敵!
エコは自分から行動を起こせるようにならないと、形だけで終わってしまいそうだと私は思います。

絵が上手だね。心温まる絵で和みました。
関心をもったので、私も本探してみます。

暮らし良い環境デザインに向けて突き進むランドスケープデザイナー石田 佳織 さんのコメント...

saenさん、そう言ってもらえてとても嬉しいです。
本からも何か素敵な事につながって行きますように。