2011年4月29日金曜日

野外活動の場所に木製設備

スウェーデンの森や水辺には人々の野外活動(Friluftsliv)のために、ベンチやBBQ場、休憩用小屋などが設けられている。
こうした場所に設置されている設備は、ほとんどが木製だ。

小高い森にある見晴し台。
岩場に設けられた通路は木製。

湖水浴場のデッキ。

休憩用小屋。
小屋内には、たき火用の台。


野鳥観察台。
写真はウメオコミューンのHPより http://www.umea.se/download/18.6e3ee83011336f9964580009244/BILDSPEL+Fågel-+%26+utsiktstorn.pdf)

トイレの建物も木造であるし、その他ゴミ箱やたき火用薪入れも木製のものが多い。

大型スーパーマーケット地区でも、水辺のデッキは木製。
店舗周辺の華やかさと木製デッキの素朴さが対照的で面白い。



スウェーデンには森が多く、林業もさかんだ。
このように野外活動の場所に木を使うことは、経済的にも景観的にも良いだろう。

一方日本では、山が多くて木もたくさんあるのに、材木としては節のないものや真っ直ぐのものが好まれるために、材木として使えない場合が多いそうだ。近年は山の植樹を杉などの針葉樹から広葉樹に代えて行く動きがあるが、広葉樹は節や曲がりが多いために材木として使いにくく、産業として成り立たないという問題がある。

日本で森林管理の分野で働く友人がウメオを訪れた際に、野外活動の場所の木製設備を見て言っていた。
「このような野外活動用の設備であれば、材木が多少曲がっていても節があっても問題ない。」と。

日本でも、公園の設備や街路のベンチなどに地域の材木を使っていけば、経済的にも良いだろうし、デザインとしても個性が出て来て面白いのではないだろうか。
好例としては、長野県小布施町の栗の木煉瓦を敷き詰めた歩道がある。これは町の特産品である栗菓子に着目したもので、地域の産業に結びついている上に町のイメージ作りにも一役買っている。また、ひとつひとつの木片の表情は歩行者を楽しませてくれる。



上のような野外活動用設備と違い、スウェーデンの公園の遊具は合板やプラスチックが主流だ。
五感で受ける面白みも少なく、個性もなくてつまらない。
遊具と材木については、デンマークで曲がった木を用いて魅力的な遊具が設けられているので、後日紹介したい。

スウェーデンの遊具。合板にしっかり表面塗装をしてしまうと木の良さを感じにくい。

木片を用いた砂場の枠。
こんな風に小さな材木を用いただけでも、公園の印象はぐっと良くなる。

2011年4月14日木曜日

暖炉

季節遅れですが…。

暖炉は、日本ではそれほど一般的ではないけれど、スウェーデンではとても人気がある。
インテリアの雑誌を見ると、おしゃれな暖炉が頻繁に登場する。(写真は雑誌"hytteliv"より)

その暖炉、作りがとても良く工夫されている。

昨秋借りていた森の家にも暖炉があり、エアコン一台と共に家中を暖めていた。

どんな仕組みになっているのか、中を調べてみると…。

周りの空気を暖炉内に上手く取り入れて、燃焼力を高めている。(図5,6,7)
また、室内下部の冷たい空気を暖炉内に取り入れて、暖めて、室内に送り出している。(図6’,8)
ススは金属板2枚とフィルターによって取り除かれる。(図1,2,3)

特に興味深かったのが、暖炉が2層構造になっていて、火のある層(図B)が空気の入った層(図A)を暖めることでとどけらえ、室内に暖かい空気を送り出している事だ。