2012年9月28日金曜日

ブログを移転しました

みなさま

これまでブログを見に来てくださり、本当にありがとうございました。

見に来て下さった皆さまの存在があったからこそ、私は 屋外環境づくりへの想いを育み続けて来れました。


我が家は8月末に、千葉県君津市へ引っ越しました。
(夫の転職のためです。)

と同時に、
見習いをさせて頂いていたガーデンデザイナーの方の元に通うことはできなくなりました。
師匠のHP:ガーデン工房 ふり〜ふ


私は これから、
自然とつながり 子どもたちが のびやかに遊び 学び 創造してゆけるような、保育園幼稚園・小学校の庭づくり
を専門に仕事をしてゆこうと思います。(師匠の助言をあおぎながら^^)


スウェーデンからの帰国後一年半 庭づくりの見習いをし、庭が私たちの暮らしや心に与えてくれるものの大きさに触れ、心を動かされたこと。

また、自然を愛し すべての人にとっての暮らし良さを考えるスウェーデンと、帰国後の日本において、自分の子どもを通して体験し 感じ 考え続けてきたこと。
「子どもにとって良い環境って どんな環境だろう?」
「これからの未来を切り開いて行く子どもたちに、私たち大人があげられるものは何だろう?」


こうした私自身の流れの中で、今後取り組んで行く事として 私が今出している答えは、

“子どもたちにとって 日々の暮らしの中で大切な場所である、園庭校庭の環境を、自然を活かして より良くして行くこと”

です。


今までは、学生気分・子育て気分のまま 環境づくりに向き合ってきましたが、
これからは仕事として、しっかり行動に移して 向き合ってゆきたいと思います。

不安もあるけれど、今この仕事を始めないと一生後悔するので、始めようと思います。
そして なにより、不安以上に わくわくした気持ちで一杯です。



ブログも今後、園庭校庭づくりに特化させて書いてゆこうと思います。

また、仕事の上でより使いやすいよう、 別のブログサービスで書いてゆくことにしました。

新しいブログはこちらです。
自然とつながる園庭校庭づくり+環境教育 〜庭は遊びと学びと創造の宝箱〜」http://ameblo.jp/hagukumino-niwa/


今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

石田佳織

2012年7月3日火曜日

お休みします

これまでこのブログを読んで下さったみなさま へ


しばらくブログをお休みします。


これまで、スウェーデンの環境や暮らしを中心に書いてきましたが、帰国しガーデンデザイナーの方の元で見習いをする中で庭づくりへの想いが高まり、今後自分がしていきたい仕事もぼんやりとですが見えてきました。

それは、保育園幼稚園の園庭や小学校の庭を子どもたちと一緒に創っていくことです。
(そしていつかは、みんなで地域の中のいろんな場所を創って行きたい。)



スウェーデンで子どもの屋外環境、中でも園庭校庭環境の良さを体験し、そこでのびやかに暮らす子どもたちの様子を見、私の中で子どもの環境について一本の軸が出来ました。
そして、このブログでも触れた 環境教育を取り入れた野外保育園や 子どもの創造を大切にしたシュタイナー学校の庭を体験し、園庭校庭が ”遊び”や”運動”だけでなく、”学び”と”創造”の場となることを知りました。
園庭校庭は子どもたちが ”暮らす”場であり、居心地の良さを考慮することの大切さにも気付かされました。
(ブログタイトル下にある「スウェーデン環境デザイン目次」をクリックして頂くと、「子どもの環境、学校環境」の中に今までの記事をまとめています。)


日本ではまだまだ、”園庭校庭は運動のための場所”という考え方が主流です。
園庭校庭での子どもたちの様子を見ていても、その創造性やのびやかさの違いは目に見えて分かります。
そして第一に、一日の中で一定の時間を過ごす園庭校庭が ここまで心地良さのない環境で良いのだろうか…そんな疑問が頭を掛け回ります。隅に生えた雑草まで抜かれてしまう整然とした校庭も、今や当たり前のようです。


この一年 庭づくりを学びながら、庭が人の心に深く入ってゆくこと、庭づくりの中には日本の文化や知恵が詰め込まれていることを実感してきました。
そして、心地良い庭には人が集い、会話が生まれること。

また、我が家で畑を作りながら、育てることと食がつながる楽しさを感じました。
庭や畑で様々な生き物がつながって生きている様子を目にしては、自分が地球の一部である事やこんなに様々な生き物を育む大地の豊かさを感じ、幸せな気持ちになりました。

羽根木プレーバーク(冒険遊び場)、『もうひとつの学校(新評論)』という昭和中期の子どもたちの遊びの風景を写した本との出会いは、環境と子どもの可能性を 改めて考えさせてくれました。
子どもたち自身が責任を持って自由に遊ぶ様は、私が想定していた以上に大胆で機知に富んでいました。身体と頭をめいっぱい動かして遊ぶ面白さ、難しい事に挑戦する時に感情を大きく揺れ動かして集中して向き合う様…。子どもの可能性がこんなにも大きいのか、環境しだいで子どもの可能性がこんなに引き出されるのかと、心が震えました。


庭には可能性が溢れています。
園や学校での生活がもっともっと豊かになるような庭を、子どもたちと一緒に創っていきたい。
子どもたちがのびのびと遊び、学び、創っていく庭。
地域の人が集い子どもたちを見守りながら、子どもたちと一緒に楽しんでゆけるような庭。

心を育み、人や地域とのつながりを育み、自然との関わりを育んでいける庭。


私は、この夏に今住んでいる場所を離れることになり、庭の師匠の元に毎日通うことは出来なくなります。
庭づくりの世界にほんの一足踏み入れただけの段階ですが、勉強を重ねながら今の自分に出来ることから始めて行こうと思います。



ブログは私にとって、日々の中で環境づくりを意識して考えさせてくれる大切な道具です。そして、より良い環境づくりを願いながら社会へメッセージを発するためのパートナーです。
ブログはこれから先もずっと続けていきたいと思います。

ただ、仕事として環境づくりを考え始めた今、これまでのブログの書き方に行き詰まりを感じています。

現在、園庭校庭づくり・子どもが主体の庭づくりのHPを作っており、ブログもそちらの方で書いていく予定です。
HPが出来ましたらこのブログでお知らせしますので、ひき続きご覧頂ければ幸いです。


最後に。
これまで、このブログを見に来て頂き、本当にありがとうございました。
大好きな環境設計の仕事から離れてスウェーデンに行き、言葉も分からず、その分野の人とのつながりも無くてもどかしい思いだった中、このブログでスウェーデンの環境について書いて来れたからこそ、心を保って来れました。
そして、ブログを見に来て下さる皆様がいて下さったからこそ、ここまで続けて来れました。
心から感謝の気持ちで一杯です。ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
石田佳織




2012年6月14日木曜日

土の再生 6 花の種を撒く

〜土の再生 1234, 5 の続き〜

資材置き場として使われて固くなっていた土も天地返し・施肥・耕耘を経て、植物を育む環境が整った。
そしてついに 花の種を撒く

今回撒くのは、60種類以上の草花。



約1200㎡の広い土地に立ち、ぱらぱらと種を撒き歩いていると、
まるでミレーやゴッホの「種を撒く人」のような気持ちになってくる。
ゴッホ『種まく人』

雑草すら少なかった土地に命を撒いている事に幸せを感じ、
そして この場所がどんな風になっていくのかを想像するだけで希望がわき出してくる

今回の花畑化を、私の師匠は「大地に色を付ける」と言う。
そして、「季節を経て年を経て、変わりゆく見え方を楽しめるように」と。
(師匠のHPは、こちら。)


種を撒いてから10日程すると 芽が出て来た。

奥に見える大山に向けて 花畑の真ん中を抜ける クローバーの道。
(大山:丹沢の山々とともに丹沢大山国立公園に属し、この辺りに住む人たちにとって思い入れのある山。)

1ヶ月経った今。

日々植物が育っていく様が愛おしく、元気づけられる。

2012年6月10日日曜日

土の再生 5 入口の林

~土の再生 123, 4 の続き~


「土の再生 4 木を植える」で書いた入口付近の林は、
様々な植物が植えられ、今はこんな風になっている。

植物たちが日々 多様な表情を見せてくれる。

入口から花畑予定地に向かう景色。

2012年6月6日水曜日

土の再生 4 木を植える

〜土の再生1, 2, 3 の続き〜

土壌改良も終わり、次は植物を植えて行く。

まずは、入口付近に木々を植えて小さな林をつくる。
この林を通り抜けることで、訪れた人は日常とは別の世界に入ってきたような感覚になり、そして花々が咲き誇る場所へと続いて行く


小さな林には、多種多様な木が植えられる。
新たに購入した木もあれば、別の庭で活かされきれていなかったためにもらってきた木もある。
トラクターで運ばれて来た木を、植える場所までユンボ(油圧ショベル)で運ぶ。

木が5本あるだけでも、そこの雰囲気はぐっと良くなる

木の根鉢を土に埋め、水を十分に与える。(参照:根鉢
この作業を”水極め”という。

水は、ホースの先を土中に差し込み、根鉢の周囲や底まで行き渡るように たっぷりとを入れる。
この時、水は土を溶かし、その泥水が根鉢の中に入る。
泥水の中の土が根鉢の中の空隙を埋め、同時に水が通り抜ける事で根鉢は引き締められる。
こうして鉢土と根が密着すると発根しやすくなる。


2012年5月30日水曜日

土の再生 3 土と肥料

~土の再生 1, 2 の続き~


堆肥というのは、有機物を微生物の力で完全に分解した肥料のこと。
堆肥と土壌と混ぜることで、それらを食べるミミズや微生物・菌類が活性化し、その結果 病害虫菌の発生を抑制することができる。


その他 堆肥の長所としては、
・堆肥中の腐植質が土壌粒子を接着して団粒構造を作り、植物の生育に良い“水持ちが良くて水はけが良い”土壌にする。
また、空気が通りやすく養分が保持されやすい土壌となる。
・土壌中のアンモニアやカルシウム・カリウムなどの陽イオンを保持する力を高め、肥料持ちを良くする
・堆肥中には様々な物質が含まれるため、化学的変化に対しての緩衝機能を持ち、安定した土壌を作ることが出来る。


難点としては、
・有機物の分解が不完全な場合、土壌中の窒素飢餓や酸素障害を引き起こす可能性がある。
・施肥したての頃は 匂いが気になる。
がある。

腐植質によって作られる団粒構造。




前記事に書いた "牛ふんや豚ぷん・公園や街路樹の剪定くず・卸市場生ゴミ・給食生ゴミから作った堆肥"は、植物の生育にとって重要な3大要素であるリン酸と窒素・カリウムをバランスよく含み、土を柔らかくし空気の通りも良くする効果がある。

この堆肥に加え、今回花畑化する土地では 以下の肥料も入れた。
・落ち葉が堆積し発酵した腐葉土/木の葉や枝を堆肥化したバーク堆肥:保水かつ排水性が良く、通気性や保肥性が良い。
鶏フン:植物の生育にとって重要な3大要素のうちのリン酸と窒素(もうひとつはカリウム)を多く含む。
油かす(今回は菜種油の搾りカス):窒素を多く含む。

こういった動物や植物など自然界のものを材料にして作られた有機肥料は、効き目はジワジワゆっくりとだが、長期にわたり健康な土を作ることができる


土の中では地表と同じように たくさんの生き物が暮らしており、それらが関係し合って土壌環境が成り立っている。
土が健康であれば、土壌中に暮らす生き物も活性化し、結果として植物が生育しやすい環境となる。


2012年5月26日土曜日

土の再生 2 施肥と耕耘

~土の再生 1 の続き~


天地返しが終わったら、次は堆肥やその他の肥料を撒く

今回は、牛ふんや豚ぷん・公園や街路樹の剪定くず・卸市場生ゴミ・給食生ゴミから作った堆肥を入れた。

近年の大規模農業化に伴って家畜ふん量が増大し、従来の方法では堆肥化が間に合わないという問題が起きている。
また、野積みにされた家畜ふんによって地下水が汚染される恐れもある。
そこで自治体などで、堆肥化施設を建設し剪定くずや給食生ゴミと混ぜて堆肥化を行う動きが出て来ている。

畜産家の方々は家畜ふんを回収してくれる経路が出来た事で、ふん処理の手間が軽減されて飼育に専念しやすくなっているそうだ。
また、給食ゴミがリサイクルされ地域で循環しているという事実は、子供たちにとっても食や地球環境への関心につながるだろう。


写真は、堆肥がダンプカーで運ばれてきたところ。
この7kgの堆肥は、敷地全体へ一輪車で運び、土と合わせてならして行く。




堆肥を敷地全体に撒いた後は、耕耘機で土と堆肥を混ぜる。

2012年5月8日火曜日

土の再生 1 土の天地返し

私が見習いをしている "ガーデン工房 ふりーふ" では今、資材置き場として業者が使っていた土地を花畑へと変えている。
敷地面積は約1200㎡。

資材置き場、そしてその前にはトラック置き場として、20年以上もの間踏み固められてきたため、地面の土はスコップも入らないくらい固くなっていた。
そして、表面には砂利が敷き詰められていた。


この表層の固い土とその下にある柔らかな土を、ユンボ(油圧ショベル)を用いて天地返しをする。

砂利の混じった表層の固い土を横によけておき、その下の柔らかな層を掘り出す。
そして、掘り起こした穴に よけておいた固い土を入れ、その上に柔らかな土を乗せる。


写真の右側の土が、砂利の敷き詰められた元の地面。
左側がユンボ(油圧ショベル)で天地返しをした場所。

この土地は粘土質の部分も多くて水はけが良くなかった。
そこで水はけをよくするために、敷地の所々に深さ5m程の溝を掘り、そこに砂利や石を中心に入れていく
こうすることで、土壌中にたまった水が、空隙の多いこの溝部分を通ってさらに地下に流れていく

写真左側 ユンボで掘っている溝が、水を地下に流すための水路となる。



天地返し終了。
植物が育ちやすい柔らかな土が出てきた。


(つづく)

小さな園庭でも 2 敷地の用い方

〜「小さな園庭でも 1」の続き〜

ストックホルム郊外にあるVattendroppen(バッテン ドロッペン)野外保育園(以下、V 野外保育園)は、敷地面積600㎡弱の比較的小さな園だが、建物を敷地中央に配置してその周囲に菜園や集う場所・遊び場を設ける事で、子供たちに様々な活動を提供している。


門から入ってすぐの所には花壇があり、来園者を迎える。(図面下)
木もベリーの低木も草花も一緒に植えられていて、足下から目の高さまで様々に彩っている。
園庭の花壇はどれも子供たちと先生が一緒に植える

花壇は入口近く以外にも園庭の所々に設けられており、ベリーなどの食べられる植物も植えられている。
ベリーを園庭に植えるのはスウェーデンでは一般的で、実がなる時期には園庭中で口の周りを赤や紫にした子供たちが見られる。


建物南側には、門・花壇・砂場・テーブル・道具小屋がある。

門を入ってすぐの遊び場は、砂場
下の写真で 砂場の奥に見えるのは、子供たち一人ひとりのリュックサック。野外保育園では一日の大半を屋外で過ごすため、鞄も外に掛けておく。朝登園してここにさっと鞄を掛けたら、すぐに遊びに入って行ける。


砂場と建物の間には、屋根付きテーブル
その奥には、菜園。
テーブルでは、絵を描いたり本を読んだり、菜園や花壇のための仕事をしたり…。
昼食やおやつ時にもこのテーブルを使う。


子供たちが描いた絵は、こんな風に建物の壁に飾られる。



建物西側には、壁に沿って菜園が設けられている。(図面左)
ここでは、細長い菜園を設けて、細長い敷地を有効活用している。
菜園には散水スプリンクラーも付いている。

菜園は建物のすぐ傍にあり 前庭と後ろ庭をつなぐ位置にあるから、菜園の活動がとても身近なものになっている。
先生が菜園仕事をしていると、遊んでいた子たちも駆け寄って来て一緒に手入れを始める。


建物東側には食べ物屑を処理するコンポストや雨樋からの水を利用するための雨水タンクが置かれている。(図面右)
こうして得られる堆肥や水は、菜園や花壇に用いられる。



建物北側は、広めの遊び場となっている。(図面上)

丸太で仕切られた球技用のスペース。
園児の年齢ならゴールもこれくらいの大きさでも十分なようだ。

球技用スペースとは言っても多目的に使え、子供たちは、ゴロゴロッと置かれたタイヤを遊具にしたり、仕切りの丸太の出っ張りを利用して板と合わせてシーソーを作って遊んでいる。

円形の踏み石を並べて、ケンケンパをして遊ぶ姿も。

こんなにもシンプルな物や形が、子供たちの創造力を育む素晴らしい遊具になっている。

私はこれまで様々な園庭校庭を見学して来たが、木材や石・煉瓦など扱いやすくてシンプルな素材で子供が自由に使って遊べるようにしている園や学校では、子供が工夫して遊具を生み出していく姿を頻繁に見かけた。

球技スペースからさらに北側は斜面になっていて、冬にはソリやスキーをして遊ぶ。
こうした地形の凹凸が遊び場をより面白くしている


素朴な車やボートの遊具。
子供たちはきっと格好良い車や大航海船を思い浮かべながら遊んでいるんだろう。
(参照:森のムッレ幼稚園の園庭 2 遊具


こんな風に小さなテントも園庭中の所々に置かれている。
自分の幼少時代を思い出しても、小さな囲われた場所が好きだった。


建物南東側には集う場がある。(図面右下)
小屋と丸太が円形に並べられ、皆で輪になって座れるようになっている。

野外保育園では昼食もおやつも屋外で食べる。
この集う場も食事に使われる。

集う場の中央に、食事が並べられ、スウェーデンでは一般的なビュッフェ形式でふるまわれる。
用意された食事の中から、子供たちは自分で食べる物を選び 食べられる量を決めて取って行く。
先生は料理の前に座り、料理を取って行く子供たちを見守っている。
「何食べるの?」「チーズは要る?」…この配膳台の周りでは先生や友達との会話がたくさん生まれる。

園庭内での食べる場所はグループごとにおおまかに決まっているが、グループの中でも座る場所は自分で選ぶ。
ある子は陽の当たる岩の上を選び ある子は丸太のベンチを という風に、自分の好きな場所を見付ける。
今話をしたい子の隣に座って、友達との会話も弾む。

ある程度まとまりを持った中の、この自由度
とても自然体で、子供たちの意志も働き、良いなと思う。


年齢の小さな子はお昼寝も この集う場の小屋でする。
日差しや小屋の中の暗さ・頬を撫でる風・木の葉の音や鳥のさえずり…それらに感覚や感情を心地良く刺激されながら眠りに入る
なんて気持ちが良さそうなんだろう。

***

小さな園庭 1, 2で見て来たように、
子供たちが体と頭と心をめいっぱい働かせて遊んで学べる園庭は、敷地の大きさ次第ではない。
小さな敷地であっても、土地の使い方次第なのだ。


日本でも、楽しい園庭がもっともっと増えるといいな。





2012年4月27日金曜日

小さな園庭でも 1 日本の園庭との比較

さぁ、スウェーデンの園庭についての記事もようやく一段落となります。

これまでこのブログで紹介してきた野外保育園の園庭は、敷地が広いものでした。
記事を読んで下さった方の中には、「広いからこそ出来る環境の良さだ」と思われた方もいらっしゃるでしょう。

けれど、良い屋外環境は 敷地がそれほど広くなくても作ることが出来るのです。

その好例として、ストックホルム郊外にあるVattendroppen(バッテン ドロッペン)野外保育園を紹介したいと思います。(以下、V 野外保育園

***


V 野外保育園の敷地面積は600㎡弱。
子供の数は、30人程。

敷地の中央に建物が配置され、建物を庭が取り囲むような形になっている。
園庭は、先の記事で述べたような野外保育園の庭の特徴を有している。
(参照:森のムッレ保育園の園庭 12 ,3456
園舎は古民家を移築。


ここで、敷地の広さと敷地の用い方を日本の典型的な園庭と比較してみると…。
(日本の園庭は、私の地域にある H保育園を典型例として取り上げています。)

左側の航空写真はV 野外保育園、右側が日本の典型例。
赤枠が敷地、青枠が園舎を示している。



日本のH保育園では園児数が V 野外保育園の2倍近くなので、敷地や建物の広さを比較すると、一人あたりの面積はそれほど差がない。
野外保育園は3歳からの受け入れで、H保育園には小学生の学童放課後クラブ用の部屋や未就園児の一時保育室も併設されている、という違いはある。)


けれど決定的に違うのが、敷地の用い方だ。


V 野外保育園の平面図は次のようだ。
園舎を取り囲む庭には、至る所に遊びと学びの場所が設けられ、植栽も園庭中に施されている



一方、日本の園庭の典型例として取り上げたH保育園の園庭は、
運動場が庭の中央を大面積で占め脇に遊具と数本の木が配置されているだけだ。


H保育園、園舎側。


園舎から見た園庭。


ちなみにこのH保育園は公立だが、園舎は幼児施設を専門とした建築事務所によって設計され、園児の生活空間が熟慮された良い内部となっている。

建物の良さとは対照的なこの園庭を見ると、日本で園庭環境がいかにおろそかになっているかが分かる。
園庭環境を大切にした保育園・幼稚園ももちろんあるのだが、そういった考え方は現在の時点では決して一般的ではない。
(ぜひ皆さんの地域の園庭をご覧になってみて下さい。おそらくほとんどの園で、遊具や木の数に多少の差はあれど、H保育園と同じような庭の作りになっているかと思います。)


***

続いて、V 野外保育園の園庭の様子を詳しく紹介します。
(つづく)

2012年4月19日木曜日

植物の移植 2

〜「植物の移植 1」の続き〜

移植するのが木の場合は、掘り下げた根鉢を麻布と縄で巻く。
縄を掛けながら木槌で縄を叩き締め、手際良くリズミカルに根巻き作業が進んで行く。

寝巻きの完成。


木を移植する際には、根は切断されたために水分の吸収力が弱まる
このため、枝葉の剪定を行って葉からの蒸散を抑え、根からの水分吸収量とのバランスを取る


最後に、木を土中から運び出す。

かつては手作業だった運び出しも、今はユンボを用いて吊り上げられるようになった。
根鉢を崩さずにユンボが安定して木を持ち上げられるよう、木の支え手とユンボの使い手は力と頭を使う。




植木職人さんたちの動きを見させてもらいながら、私自身もシャベルを手に移植を手伝わせてもらい、職人の体力と集中力に驚かされた。

あれだけの重労働だと、10時・昼食・3時の休憩は必須だな…と思った。

それにしても、10分休むだけでも見事に回復する人間の体も素晴らしい。
そして、空の下で土と木と働く事は最高に楽しい!